1990年台のバブル崩壊以降、安定した職種として人気を集める地方公務員。新型コロナウイルス感染症の蔓延などの国難も重なり、改めて国や県、市町村などで働く公務員の姿にスポットライトが当てられています。
就活や転職を考えている学生さんや会社員の方は、働きやすさや給料、試験など気になりますよね。
今回は、総務省がホームページで公開している「令和3年地方公務員給与実態調査」の結果を基に、地方公務員のお財布事情を紐解きたいと思います。
地方公務員年収ランキング TOP100
早速ですが、「令和3年地方公務員給与実態調査」の結果を年収ランキング形式にまとめてみました。
※1 給与には基本給の他、地域手当や扶養手当、時間外手当などの各種手当も含む
※2 1カ月の給与は令和3年4月の実績
※3 職種は一般行政職と呼ばれる、いわゆる事務職を抽出
※4 管理人が独自に検証したデータですので、見方を変えれば結果は変わる可能性があります。ご容赦ください
順位 | 自治体名 | 平均年齢 | 年収 |
1 | 小平市 | 39.6歳 | 749万円 |
2 | 三鷹市 | 42.4歳 | 738万円 |
3 | 東京都 | 41.9歳 | 737万円 |
4 | 川崎市 | 41.6歳 | 734万円 |
5 | 名古屋市 | 41.3歳 | 733万円 |
6 | 神戸市 | 42.6歳 | 729万円 |
7 | 厚木市 | 42.3歳 | 728万円 |
8 | さいたま市 | 40.4歳 | 725万円 |
9 | 武蔵野市 | 40.6歳 | 722万円 |
10 | 豊田市 | 41.8歳 | 719万円 |
11 | 国分寺市 | 42.3歳 | 718万円 |
12 | 千葉市 | 41.1歳 | 714万円 |
13 | 市川市 | 42.8歳 | 713万円 |
14 | 三田市 | 45.2歳 | 713万円 |
15 | 藤沢市 | 41.2歳 | 711万円 |
16 | 鈴鹿市 | 41.8歳 | 711万円 |
17 | 西宮市 | 40.7歳 | 711万円 |
18 | 大阪市 | 43.5歳 | 710万円 |
19 | 杉並区 | 41.9歳 | 707万円 |
20 | 小金井市 | 42.2歳 | 706万円 |
21 | 逗子市 | 44.2歳 | 706万円 |
22 | 小田原市 | 42.3歳 | 705万円 |
23 | 仙台市 | 41.9歳 | 702万円 |
24 | 豊中市 | 43.2歳 | 701万円 |
25 | 糸島市 | 42.5歳 | 700万円 |
26 | 横浜市 | 40.8歳 | 699万円 |
27 | 国立市 | 40.5歳 | 699万円 |
28 | 鎌倉市 | 40.8歳 | 699万円 |
29 | 町田市 | 42.1歳 | 698万円 |
30 | 春日市 | 41.9歳 | 698万円 |
31 | 神奈川県 | 43.1歳 | 697万円 |
32 | 大阪府 | 42.1歳 | 697万円 |
33 | 徳島県 | 43.8歳 | 697万円 |
34 | 佐倉市 | 43.6歳 | 697万円 |
35 | 浦安市 | 43.5歳 | 697万円 |
36 | 八王子市 | 43.0歳 | 697万円 |
37 | 大津市 | 42.3歳 | 697万円 |
38 | 田尻町 | 46.0歳 | 697万円 |
39 | 三原市 | 42.6歳 | 697万円 |
40 | 三重県 | 44.3歳 | 695万円 |
41 | 京田辺市 | 40.6歳 | 695万円 |
42 | 府中町 | 44.8歳 | 695万円 |
43 | 京都市 | 43.2歳 | 694万円 |
44 | 習志野市 | 40.5歳 | 694万円 |
45 | 足立区 | 40.3歳 | 694万円 |
46 | 調布市 | 40.8歳 | 694万円 |
47 | 平塚市 | 40.9歳 | 694万円 |
48 | 草津市 | 37.8歳 | 694万円 |
49 | 東広島市 | 43.3歳 | 694万円 |
50 | 北九州市 | 45.8歳 | 693万円 |
51 | 青梅市 | 43.2歳 | 693万円 |
52 | 守口市 | 41.9歳 | 693万円 |
53 | 印西市 | 44.4歳 | 692万円 |
54 | 狛江市 | 40.8歳 | 692万円 |
55 | 岡山市 | 44.3歳 | 691万円 |
56 | 台東区 | 39.1歳 | 691万円 |
57 | 西東京市 | 40.9歳 | 691万円 |
58 | 四日市市 | 40.3歳 | 690万円 |
59 | 静岡県 | 42.7歳 | 689万円 |
60 | 広島市 | 41.3歳 | 689万円 |
61 | 新宿区 | 40.3歳 | 688万円 |
62 | 日野市 | 42.6歳 | 688万円 |
63 | 大東市 | 43.0歳 | 688万円 |
64 | 伊丹市 | 42.6歳 | 688万円 |
65 | 東村山市 | 41.4歳 | 687万円 |
66 | 豊川市 | 41.7歳 | 687万円 |
67 | 刈谷市 | 38.8歳 | 687万円 |
68 | 芦屋市 | 39.1歳 | 687万円 |
69 | 北広島町 | 44.6歳 | 687万円 |
70 | 稲城市 | 41.7歳 | 686万円 |
71 | 伊勢原市 | 41.5歳 | 686万円 |
72 | 岐阜市 | 41.1歳 | 686万円 |
73 | 八尾市 | 42.5歳 | 686万円 |
74 | 泉佐野市 | 46.6歳 | 686万円 |
75 | 宇陀市 | 47.8歳 | 686万円 |
76 | 呉市 | 45.9歳 | 686万円 |
77 | 磐田市 | 45.3歳 | 685万円 |
78 | 高槻市 | 41.2歳 | 685万円 |
79 | 立川市 | 43.6歳 | 684万円 |
80 | 直島町 | 42.4歳 | 684万円 |
81 | 交野市 | 43.5歳 | 683万円 |
82 | 愛知県 | 41.5歳 | 682万円 |
83 | 世田谷区 | 40.1歳 | 682万円 |
84 | 東海市 | 38.1歳 | 682万円 |
85 | 亀山市 | 43.2歳 | 682万円 |
86 | 江東区 | 40.7歳 | 681万円 |
87 | 目黒区 | 40.6歳 | 681万円 |
88 | 寒川町 | 40.9歳 | 681万円 |
89 | 裾野市 | 41.7歳 | 681万円 |
90 | 津市 | 42.3歳 | 681万円 |
91 | 伊賀市 | 44.9歳 | 681万円 |
92 | 日立市 | 43.8歳 | 680万円 |
93 | つくば市 | 43.3歳 | 680万円 |
94 | 文京区 | 39.7歳 | 680万円 |
95 | 富士市 | 42.8歳 | 680万円 |
96 | 西尾市 | 45.0歳 | 680万円 |
97 | 栗東市 | 41.7歳 | 680万円 |
98 | 豊能町 | 46.4歳 | 680万円 |
99 | 宇部市 | 45.1歳 | 680万円 |
100 | 宮城県 | 42.1歳 | 679万円 |
いかがでしょうか?イメージ通りの稼ぎだと思われた方や、意外と少ないと思われた方など、さまざまかと思います。
管理人の見解にはなりますが、ランキングを見る限りは、民間企業の平均年収と比べても見劣りすることはなく、安定した収入を得られる職種と言えそうです。
自治体間の年収の差は何?
地方公務員の給与体系は原則、国に準じて決められているため、『この街はボーナスが多い!』といったような独自性はほとんどありません。
ではなぜ、年収に差が開くのでしょうか?
年収を左右する要素を分析してみました。
1 地域手当の支給率
年収の差を生み出す一つ目の要因が、地域手当です。
公務員の地域手当は、その土地の民間企業の賃金水準を反映するために支給されています。支給率は地域ごとに違い、民間の賃金が高い地域に勤務する職員ほど高い額が支給されます。
言い換えると、勤務地によって異なる物価や地価の差による生活への影響を極力小さくするための手当であり、物価などに比例して、都市部になるほど支給率が高くなるものです。全国の自治体の支給率を見ると、0%と1円も支給がない自治体もあれば、20%のところもあります。支給率は国が決め、各自治体がそれに合わせています(一部地域では近隣市町村と均衡を図るために独自に設定しているようです)。
ちなみに、公務員の地域手当の額は、ザックリと以下の計算で求められます。
2 時間外勤務手当が多いかどうか
年収の差を生み出す二つ目の要因は、時間外勤務手当です。いわゆる残業代ですね。正規の勤務時間を超えて勤務した職員に支給される手当です。
公務員は残業が少ないというイメージがあるかもしれませんが、月100時間を超えて勤務するような多忙な職員がいるのも事実です。日々のニュースなどを見ていても、最近はワクチン接種や給付金など、新型コロナウイルスの対応も大変そうですよね。
※公務員の働き方については、また後日記事にしたいと思います。
残業代が多ければ、平均年収は上がります。当然のことですが、今回の年収ランキングにも大きな影響を与えています。
例えばランキング1位になった東京都小平市を見てみます。
管理人の個人的な見解で、東京都の中ではメジャーな街ではないように感じますが、1位です(小平市の皆さん、悪気はありません!)。何故でしょう?試しに小平市のホームページを見てみると、何となく謎が解けました。
今回ランキングの算出根拠となった令和3年4月に、小平市では市長選挙と市議会議員補欠選挙がありました。公務員は選挙があると、投票所を開設するために多くの職員が応援で従事します。
選挙は休日に行われ、早朝から深夜までかかります。休日出勤というわけです。さらに、選挙当日は従事した全時間を時間外勤務として取り扱います。大量の職員に長時間の残業代を支給すれば、必然的に時間外勤務手当が増えますよね。当日に至るまでの準備や選挙後の処理なども時間外に行われるものが多いため、選挙のある月は残業が増える傾向にあるのです。
今回公開したランキングは、総務省が公表した令和3年4月の実績を12倍して1年分としました。小平市にとっては、通常の月と比べて残業代が多い時を12倍されたため、1位に躍り出たと勝手に予測しました。
1年分の給与が公開されているわけではないため、こちらの計算方法でご容赦ください。
3 平均年齢や年齢構成
最後の要因です。平均年収のランキングですから、勤務する職員の平均年齢が高ければ高いほど、額は大きくなる傾向があります。人数や年齢構成もまちまちなので、詳しく分析したい人は総務省が公表している資料や各自治体の給与公表資料を確認してみるのも良いですね。
ちなみに管理人の地元神奈川県では、以下のようなページで県内市町村の給与の状況が公表されていました。
まとめ
繰り返しになりますが、地方公務員の給与体系は国に準じて決められていますので、自治体が独自性を出すところではないというのが前提にあります。そんな中でも、学生さんや会社員の方は就活や転職で後悔しないよう、年収の差となるポイントをしっかりと押さえて、逆転ストーリーを実現させてください!
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