社会保険料が印字された給与明細

会社員が社会保険料を安くする方法│4月~6月の残業代がポイント

皆さんは、毎月の給料から天引きされている金額がどのように決まっているか、きちんと理解していますか?

「勤務先の会社にお任せ」

「税金とか社会保険って難しそうでよく分からない・・・」

このように考えている方も多いのではないでしょうか。

特に会社勤めのサラリーマンやOLの方は、ほとんどの手続きを労務管理を担当する部署の人が担ってくれるため、正しい制度を理解していなくても支障なく過ごせてしまいます

当然、会社は国の制度に沿って皆さんから色々な費用を徴収しますから、計算に間違いはないはずです。会社が給料から天引きして税金の納付などを代行してくれるおかげで、私たちは気付かぬうちに国民としての義務を果たしていることになります。

でも、仕組みを理解していないことで制度を有効活用できていなかったら?損をしているとしたらどうでしょう?

もったいないですよね。

自分に関わるお金のことを理解するのは、逆転ストーリーを歩む第一歩。

給料から天引きされるものは多くありますが、中でも今回は、社会保険料を安く抑える方法を紹介します。

社会保険料って何?

ズバリ、会社員が給料から天引きされる社会保険料とは、①健康保険料②厚生年金保険料③介護保険料の総称のことです。それぞれの役割を簡単に解説します。

①健康保険料

健康保険は、病院を受診した時などに医療費の負担が減る、医療保険です。

医療保険は高度な医療費の負担を軽くするため、全ての国民が入る必要があるものとされています。

この保険に加入することで、皆さんが持っている保険証がもらえます(親の扶養に入ることでもらえるパターンもあります)。

勤務形態によって適用する医療保険の種類が変わります。

  • 民間企業 = 健康保険
  • 公務員  = 共済組合
  • フリーランスや無色 = 国民健康保険

受けられるサービスはどれも同じと思ってもらって大丈夫です。

健康保険料 = 医療保険料 ということです。

②厚生年金保険料

厚生年金は、本人とその家族の生活の安定を保証する制度です。

老後に受給する年金や遺族年金などのことですね。

会社員の場合は、国民年金と厚生年金の二種類に加入しています。

  • 国民年金:日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する年金
  • 厚生年金:厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する全ての人が加入する全ての人が加入する年金

この2つの保険料が厚生年金として給与から天引きされています。上限などもあるため一概には言えませんが、厚生年金を収める額が多ければ年金の受給額も増えます

③介護保険料

介護を必要となった人が、約1割の費用負担で訪問介護やデイサービスを受けられるようにするための保険です。

保険料は、40歳~64歳の人が支払うことになっていますので、該当の年齢になると給与から天引きされます。

高齢化が進む中、現役世代の負担が徐々に大きくなっている象徴かもしれませんね。

会社が半分負担

これら①~③の保険料は、会社員や公務員であれば従業員と会社が半分ずつ費用を負担します。

たくさん天引きされているように感じますが、会社が半分負担してくれる仕組みはサラリーマンのメリットとも言えるかもしれませんね。

社会保険料は標準報酬月額で決まる

社会保険料は、給与の支給実績に応じて増減します。収入が多ければ多くなりますし、少なければ減ります。

ただ、実績に応じてとはいうものの、保険料は毎月変動するわけではありません。年に1度、その年の社会保険料が決定するタイミングというのが存在します。

この仕組みを理解していれば、保険料は安く抑えることが可能になります。詳しく見ていきましょう。

標準報酬月額って何?

社会保険料の金額は、基本給や各種手当など、毎月の支給実績から算出された平均給与を基に決まります。とは言っても、一人一人違う額になっていたら計算も大変です。

そこで活躍するのが、標準報酬月額です。

保険料を計算するために平均給与に幅を設けたもので、計算した平均給与がどの幅に当てはまるかによって標準報酬を決め、社会保険料の額を決めます。

(例)平均給与25万円の場合

①報酬月額(平均給与)25万円以上27万円未満の幅に該当

②標準報酬月額は26万円に決定

③標準報酬月額に保険料率を掛けて計算(令和3年4月想定)

  • 健康保険料=標準報酬月額(26万円)×保険料率(9.99%)
  • 厚生年金保険料=標準報酬月額(26万円)×保険料率(18.300%)
  • 介護保険料(40~64歳)=標準報酬月額(26万円)×保険料率(1.80%)

④上記③の金額のうち、50%を従業員が負担。残りは会社負担。

⑤結果、自己負担額

  • 健康保険料=12,987円
  • 厚生年金保険料=23,790円
  • 介護保険料=2,340円

以下の通り、保険料額を一覧にした表が公開されていますので、一度見てみるとイメージが湧くかと思います。

参考:全国健康保険協会|令和3年度保険料額表(令和3年3月分から)

標準報酬月額はいつの期間で計算?

この流れ、もうお分かりですよね。

社会保険料の金額の基となる標準報酬月額は、毎年一回、ある期間の平均給与から決まります。

・・・そうです。タイトルの通り、4月~6月の平均額で決まるのです。1年の平均ではないのが意外ですよね。

毎年4月~6月の平均額で9月以降の標準報酬月額を決めることを、定時決定と言います。

標準報酬月額の基礎となる報酬には時間外手当(残業手当)も含むため、4月~6月の残業が多いと標準報酬月額が高くなり、結果的に社会保険料は上がるというわけです。

「毎年この時期は忙しいのに、不公平だ!」

業務の性質上、普段はほとんど残業がないのにこの時期だけ忙しかったり、災害などで突発的に残業が増えてしまったりという方もいますよね。標準報酬月額を改定する際、会社は長期の平均も見て、こうした大幅な等級の変動がある人には1年平均による報酬月額の決定をする仕組みもありますので、安心してください。

社会保険料を少しでも抑えたい人は、4月~6月の残業に注意してみましょう。

随時改定もある

4月~6月の残業代に注意と述べたばかりですが、社会保険料を決定するタイミングは他にもいくつかあります。中でも全員に関わりのあるのが、随時改定です。

随時改定とは、残業や特殊勤務といった実績で変動することのない給与(固定的給与と言います)が、昇給や降給などで増減した場合に行う改定です。何かしら固定的給与の改定があった時は、社会保険料が変わる可能性があることを理解しておきましょう。

毎年昇給や昇格をする時期が決まっていて、あらかじめ把握できる場合は、定時決定と同じように残業代に注意することで社会保険料を安く抑えることもできます。

まとめ

今回は、4月~6月の残業代を調整することで、社会保険料を安く抑えることができる仕組みを紹介しました。

文中でも触れましたが、社会保険料のうち厚生年金保険料は、将来受給できる年金額に影響があります。また、健康保険料も十分な医療を受けるために必要なコストで、社会全体で支え合っていくために欠かせない仕組みでもあります。

決して損をしているわけではありませんが、大きな負担であることも事実。

制度を理解して、豊かな人生を送りましょう!

※本記事の内容は、就労形態などによって当てはまらない場合があります。ご容赦ください。

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