社会保険の制度改正をイメージする保険証の写真

2022年10月に社会保険の適用範囲が拡大│パート・アルバイトの働き方が変わる

2020年に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、社会保険の適用拡大が決まりました。

今回の改正で、夫や妻の扶養などに入っているパート・アルバイトの人は働き方の見直しを迫られる可能性があるため、注意が必要です。詳しく見ていきましょう。

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社会保険の適用拡大とは?

これまで、企業が社会保険を適用する従業員は、①正規社員、②フルタイムの従業員、③正規社員の4分の3以上働くパート・アルバイトの3種類でした。今回の改正で、比較的勤務時間が短い従業員も、社会保険の適用範囲となります

社会保険が適用される新たな従業員

正規従業員の4分の3未満の勤務時間であっても、以下4つの要件を満たす従業員は被保険者となることになりました。

① 週の所定労働時間が20時間以上

所定労働時間とは、契約上の時間で判断されます。残業などの時間は含みません。ただし、実労働時間が2カ月連続で20時間以上となり、以降も引き続き20時間以上の見込みとなる場合は、3カ月目から社会保険が適用されます。実態に沿って実労働時間を重視する制度ということですね。

② 雇用期間が2カ月以上の見込み

これまで1年以上必要だった雇用期間が、2カ月以上になります。期間は、契約期間で判断します。ただし、契約期間が2カ月以内であっても、契約書に更新がある旨の記載があったり過去に同じ職場で2カ月を超えて雇用した実績があったりするなど、実際は2カ月を超えて雇用される見込みの場合は、雇用期間の初めに遡って適用対象となります。

③ 賃金月額が8.8万円(年収106万円以上)

給料が8.8万円以上必要です。残業代や通勤手当、賞与などは含みません。

④ 学生でない

学生は社会保険の適用範囲だったとしても、対象外となります。ただし、卒業前に就職し、卒業後も引き続き雇用される場合は適用対象となります。

この結果、夫や妻の扶養の範囲内で働いていた少ない勤務時間の人が、被保険者となる可能性が出てきたことになります。

レジで接客する店員と客

従業員数100人越えの企業から順次拡大

社会保険の適用拡大は、企業が雇用する従業員の規模によって開始時期が異なります。従業員数500人超規模の企業は2016年から既にスタートしていますが、2022年10月の改正で先述した雇用期間の変更(1年から2カ月に変更)が適用されると共に、小規模の企業へも拡大していきます。

適用拡大の開始時期

  • 2022年10月から ・・・ 従業員数100人超の企業
  • 2024年10月から ・・・ 従業員数50人超の企業

扶養の限度額が実質引き下げに

今回の改正により、夫や妻の扶養に入るための要件である限度額は、年間130万円から年間106万円に実質引き下げられます。今後も扶養の範囲内で働こうと考えている人は、注意が必要です。

もちろん、働き方を見直して扶養を気にせず収入を上げられ、社会保険料を支払って将来の年金受給などに備えられれば、それに越したことはありません。

しかし、子育てや介護などで働く時間を十分に確保できない人がいるのも事実。働くのはほどほどにして、他の事に時間を充てたいと考えている人もいるでしょう。

現実、社会保険に加入することで手取りは減る可能性があります。制度の改正をしっかりと理解して、納得した上でライフプランを立てることをお勧めします。

保険と書かれたブロックの周りに注射や薬が置かれた写真

適用拡大による企業への影響は?

会社勤めで社会保険に加入する人は、保険料を会社と折半で納めていることを知っていますか?

「こんなに高い保険料を毎月給料天引きされている」と不満を持つ人も多いかと思いますが、実は半分の支払いで住んでいるのです。

企業の立場からすると、今回の適用拡大で社会保険に加入させなくてはならない従業員は増えるため、人件費が増加してしまいます。採用計画や労働時間の管理などへの影響は大きいでしょう。

短時間勤務のパートやアルバイトは、飲食業や小売業などのサービス業に多い傾向があります。現在、新型コロナウイルスで大きな打撃を受けている業種でもありますよね。企業が従業員の労働条件を見直す機会になることは間違いないはずです。

見直しの結果、方針転換により従業員にしわ寄せが来てしまう可能性も否定できません。企業も真剣に考えています。制度を理解した上で、必要であれば話し合いを重ねましょう。

まとめ

  • 短時間勤務の労働者も社会保険の適用対象になる
  • 小規模の企業も従業員を社会保険に加入させなくてはならなくなる
  • 適用拡大は2022年10月開始
  • 扶養の限度額が106万円になる

社会保険は、私たちが健康で安定した生活を送るために欠かせない仕組みです。制度を理解していないことで損をするようなことがあっては、本末転倒です。

将来のことや家族のことなどを考え、しっかりと人生設計を行い、自分に合った働き方を見つけて逆転ストーリーを実現しましょう。


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